始発前の空は怖いくらいに黒い。
夏だったら明け方と呼ぶようなこの時間、今の季節は真夜中より純度の高い夜。
車でさえ少なくて、駅のホームで電車を待つ人はみんな口を真一文字に結んでいる。
あと何時間後かには街は浮かれきった面をさらすのだろうが、この瞬間はその全てを意に介さない。
平等な孤独が満ちている。
ここにいると振り切った冷たさは優しさなのだろうと思う。
私たちを傷つけるのはいつだって中途半端なものだ。どっちつかずの言葉ばかりを吐いているくせに。
それならばいっそのこと、一生口を噤んでしまおうか。
私の言葉は純度の高い夜に溶けてしまえばいい。