いつか行ってみたいとただ思うだけだった場所には、思いの外すんなり行ける。

死ぬまでにやってみたいとぼんやり夢想していたことは、ひょんなことから実現したりする。

そういう経験が立て続けに起こった。

非日常はやがて日常に成り代わる。

境界が曖昧になっていく。

日常だった部分が酷く空虚で仕方ない。

その叫びすら塗りつぶすように、新しい日常を詰め込むことしかできなかった。

刺激に鈍感になって、感情が麻痺していくのがわかる。

脳はただ情報を処理するだけで、心となりうる電気信号は送ってくれない。心は脳の信号だって話だったのに。

私はAIの下位互換か?型落ちもいいところだろ。

私を私たらしめるものが揺らいでいて、何もかもが偽物のように思えた。

 

来世は高性能アンドロイドになりたいな。